モデる側とモデられる側

コンピュータそのものではなく、コンピュータを用いたシステムでは、その設計段階で、扱う情報、ユーザーの振る舞い、メッセージ、そしてもちろん実現したい機能をモデル化する。設計(デザイン)とはモデル化とその実現方法の検討に他ならない。このデザイン屋をモデる側とし、情報や振る舞いの源泉たる人、をモデられる側とここで称してみる。

さて、システム屋のはしくれたる俺もモデリング手段なり新しいモデルなりへの興味は尽きない訳だけど、この、モデル化そのものに対して嫌悪感を抱き、反発する層ってのが存在する。

この層は「ふふん、オラのクリエイチビティをオメーなんぞのカタにハメられてたまるかコノヤロ」みたいなマインドを持つ層、と言い換えることもできる。新たにモデル化できたもの=スタンダード予備軍という側面もあるため、あらゆる標準化への嫌悪感を抱く連中がいることは、まあ、想像できなくもない。でもユーザーさんですので「少数意見」てな風に無視する訳にもいかん場合がある。

こういった層に出くわす場合、「どこまでモデル化するか」、というモデル化レベルそのものの議論となる。情報や振る舞いを、網羅性の高いガチガチのモデルにしてしまえばしてしまうほど、確かに実装はラクでしょうし、モデる側としては「モデれるものは全部モデりたい!」と思うのも自然ですが、ガチガチにモデル化されたオブジェクトはその発生元であるヒトの創造性を潰してしまうことにもなりかねない。

これが業務システムなら納期だなんだの制約事項のせいで現実解への収束もありえましょうが、コンシューマサービスは難しい。情報の用途をガチガチにしてしまったがために、(実はあった)多様性をomitしてしまう、という事態は避けたい。

オブジェクト指向のおかげで、モデる側は情報、に対するmethodは増やしうることを想定して設計できるようになったが、どうもそれだけでは済まないような気がする。

Web2.0のキーワードに「情報のremix」も掲げられているように、「情報」自体は非常に単純な構造で、そのmethodを足すためのAPIがオープンになっている、というアプローチが、情報の用途の多様性を担保するためのヒントではないだろうか。

なんて思いつつ2005年は暮れていく。
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生産性の向上だけが興味かしら

コンピュータの世界、というかIT屋の世界ではRoRなどAgileな開発手法についてトピックとなることが多い。メディアの煽動なのかもしれないが、皆の関心がそこにある、という顕れでもあるだろう。

しかし皆の関心が固定的になればなるほど、その分野での差別化は難しくなる。この世界、αな技術に対する興味が業界全体を先導しているという事実も無視できないが、本当のプロジェクトでは「実装が早くできましたね」という生産性だけが成功要因ではない。そして過去にも、本当に問題になったのはコーディングの生産性だけではなかったはずだ。

もちろん、これら生産性向上技術をトレンドとして踏まえておく、共通言語として知っておく、さらには生産性に対する世の中基準が今後こういった技術ありきとなることへの理解、という最低限の努力は必要だろう。が、懐刀として必要なスキルは生産性の向上だけなのか考えていくべきだ。

IT業界は、まだ、買い物下手なお客と売り下手なベンダとが互いに「どうやったら互いに納得する取引になるのか」を勉強している状態にあると思う。そんな中で、売り手、作り手が、己の視点で生産性にだけ興味を先行させ、本来顧客へ提供すべき価値がどこにあるのか、という議論がないがしろになってしまうことは避けたい。

などと思っているところに ITProの記事が現れて、自戒を込めて同意した次第。
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論理整理と物理整理


  • 部屋が汚い。てか物が多い。

  • (PCの)デスクトップやファイルツリーが汚い。てかアイコンが多い。


こういう、整理のできてない状態はあまり望ましくない訳ですが、自分の場合、後者のデスクトップやファイルツリーの最適化ならノリノリで行うことができます。これを論理整理と呼ぶことにしよう。

一方の部屋の整理整頓、物理整理はどうにも気が乗らない。これは昔からの性分でもあるけど、なんで論理整理はニコニコしながらやるのに、物理整理はイヤなのかを考えてみることにします。一度論理整理と比較して、論理整理ではよくつかう手段をどうやって物理整理に応用するか、これを考えてみるのです。


圧縮を効かす

布団なら有名な装置で圧縮できる。CDも、プラケースを外して圧縮できるな。書籍はムリだ。
そして伸張するにも天日干しとかしないといけなくて、面倒だ。


index をつけてみる

たとえばある引き出しの中身、について index を作ることはできるけど、出し入れしてもそのメモが自動更新されない。
検索もできない。

アクセシビリティを損なわないようにする

普段は触らないようなファイルは圧縮して「その他」みたいなフォルダに置いておくとしても、一覧性は損なわれても、アクセスしやすさはそんなに変化がない。が、物理世界では奥の方にしまってしまうと、取り出しやすいようにしておくのは難しい。


オブジェクト指向的にモノの method に応じた配置をする

ちょっと前ならCDを聴くためのコンポなどがあって、CDはそのそばにあればよかったけど、CDをリッピングする、という method が増えると、今度はPCのそばにCDを置かないといけない。
テレビ、ビデオ、HDDレコーダ、ゲームのコントローラなど、TV画面に関わる操作内容も年々増えてて、増えるたびに困る。


どうもうまくいかなそうだ。

それはそうと、部屋が綺麗で几帳面な人でも、デスクトップは異常に汚い場合がある。これは面白い。根本的に物理整理と論理性能は違う才能なのかもしれない。
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