生産性の向上だけが興味かしら

コンピュータの世界、というかIT屋の世界ではRoRなどAgileな開発手法についてトピックとなることが多い。メディアの煽動なのかもしれないが、皆の関心がそこにある、という顕れでもあるだろう。

しかし皆の関心が固定的になればなるほど、その分野での差別化は難しくなる。この世界、αな技術に対する興味が業界全体を先導しているという事実も無視できないが、本当のプロジェクトでは「実装が早くできましたね」という生産性だけが成功要因ではない。そして過去にも、本当に問題になったのはコーディングの生産性だけではなかったはずだ。

もちろん、これら生産性向上技術をトレンドとして踏まえておく、共通言語として知っておく、さらには生産性に対する世の中基準が今後こういった技術ありきとなることへの理解、という最低限の努力は必要だろう。が、懐刀として必要なスキルは生産性の向上だけなのか考えていくべきだ。

IT業界は、まだ、買い物下手なお客と売り下手なベンダとが互いに「どうやったら互いに納得する取引になるのか」を勉強している状態にあると思う。そんな中で、売り手、作り手が、己の視点で生産性にだけ興味を先行させ、本来顧客へ提供すべき価値がどこにあるのか、という議論がないがしろになってしまうことは避けたい。

などと思っているところに ITProの記事が現れて、自戒を込めて同意した次第。
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