<思い出>
日々修行のつもりでラーメンを喰っている俺ですが、先日呑んでタクシーで帰宅し、空腹を覚えて近所の屋台に初めて入った時のおはなし。屋台の存在は1年前から知ってたんだけど、こんな人気もないところでやってる屋台なんで、「最終手段」と思ってました。
雨避けのためのビニルをくぐると、多摩地区の場末のスナックから出てきたであろう、東京水商売訛りの、化粧のキツい、明らかに酒焼けでデカい声の、ガラの悪〜いおばはん×3、無口なおっさん、俺、という客構成。そこでの屋台のおっさんの発言がいちいちオモロかったのです。
おばはんが「ねえ、兄さん(屋台のおっさんをこう呼んでいた)、このへんじゃ花代(場所代か?)取られやしないのかい?」と聞けば、屋台のおっさん、「この辺じゃ花代は取られねえんだよ。俺はよ、結構昔警察にはやっかいになったからよ、詳しくは言わないけどな! いろいろあったからここは警察公認の屋台ってことよ。詳しくは言えねえけどな!」と、明らかに言いたそうな口ぶりでラーメンを調理。んで、調理はいいんだけど、「お客さん、ネギ、入れる?」と俺に聞いてきて、「あ、OK です」と言ったらいきなり果物ナイフでネギを刻み始めるのはよしてください。ネギ農家に失礼です。
さらに、おばはんもいい加減舌がアレらしく、「ねえ兄さん、このラーメン美味しいよ〜。あたしゃこんだけ美味しいラーメンを食べたのは久しぶりだね」といいながらおでんを喰い、おっさんも「俺もよ、有名なラーメン屋は56軒喰ったね。美味しいと思うのは6軒だよ。6軒しかないね」「やっぱり醤油なんだよ。どんな店でも醤油が不味けりゃ駄目なんだよ」「俺のとこの醤油は、だから美味いんだよ」「俺よ、野球もやってんだ。屋台朝までやって、そっから早朝野球よ」などといいながら、ザクザクとネギを刻むのです。果物ナイフで。
といって出てきたラーメン、麺のびててくそ不味かったです。ごちそうさまでした。
</思い出>
さて、こんな俺のラーメン記憶はどうでもいいんですが、 特にグルメではないのに、ラーメンとなると、「つくりこだわり」な輩が頻出しやすいのが気にかかります。「○○食べてないの? ダメじゃない? それじゃ」とか、「○○を美味しいと思ったの? ダメじゃない? それじゃ」とか、「あたしゃいろいろ食べたんだよねえ」とか言いながら普段吉野屋くらいでしか食事をしていないようでは、なんかこう、「ザ・ニンジャの順逆自在の術!」というか単なる教養不足なのに多様性をちっとも認められなてないということで、少なくとも自分の舌が絶対であるかのようにラーメンについて議論してはいけない訳で。
例をあげるとですな、博多ラーメンしか食べたことがないことが理由で、「博多以外のラーメンはラーメンじゃないね!」とか言い出すのは、やっぱり Windows しか使ったことがないのに「Windows 以外の OS なんてね!」と言い出すとか、国外旅行した先で「コシヒカリ喰ってないなんて信じられない!」とか言うのと似ているなあ、と思うのです。でも、そんな場合においても、「そうだねえ」とか「なるほどねえ」とか言ってしまいがちでもあるのですが、内心はトホホと思ってますよ。ただ、別に俺ラーメンの啓蒙者じゃねえし、ラーメン屋の営業でもねえしな。喫煙者だから舌狂ってるって言われてもしょうがねえしってことで視線を遠くにして聞いているふりをするだけです。
ラーメンシーンは活性化していますが、シーンのコアには「つくりこだわり」な人たちはいないようです。これだけが救いです。
何が言いたいのか言葉が足りないですが、
もっとラーメンが食べた〜い!(釣りキチ三平の最終回のようなポーズで)