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08/11/2004: "耳に伴わせる"


最後に買ったCDウォークマンが壊れてから丸4年ほど、移動中音楽摂取装置なしに過ごしてきた。電車中でどんなに近隣のシャカシャカ音が聞こえてイライラを募らせようとも、路上垂れ流し音楽が重なって不快なノイズだらけの渋谷を歩こうとも、とにかく携帯mp3再生装置こそが次に手に入れないといけないデバイスなのだと心に決めて4年が経過したのだ。(その間、音楽を携帯するという生活様式は完全に消えてた。移動中は専らマンガ誌に専念)

なんでそうしたかったか。贅沢を言うなら、好きな曲/アルバムだけループさせたいじゃないですか。それもCDやMDの入れ替えより煩わしくない方法で、目の前の退屈な環境を音楽で彩ってたいんですよ。

で、やーっと発売の iPod mini を手に入れ、さっそく4GBをパンパンにして歩いてみる。果たして電車内では相変わらずマンガ誌購読は止まらないが、とにかく歩いて移動することがおっくうでなくなる。元々町並みや道沿いの何かに「散歩の達人の高み」的視点の何かを感じない自分にとっては、歩いて移動=面倒な行為でしかないのだが、音楽が耳に伴っていると、耳以外の感覚器の感度や感情が増幅されるらしく、いろいろと脳内を駆けめぐってくれる。思索というほど大それたもんでもないが、この感覚は久しぶりで楽しい。

Walkmanにしてもケータイにしても、広くはゲームボーイにしても、人の行動様式に変化をもたらすインパクト十分な装置だが、そのどちらもが「使い手に都合のいい空間を作りやすい装置」だと言えそうだ。もしくは、元来ヒマ、もしくは煩わしいはずの電車移動や徒歩移動を彩ってくれる装置だな。iPodはさらに多量の曲のプレイリストが作れるという点で都合の良さを増してあるモノ。

というとこまで考えた上で、元々一般的には電車移動の時間は書籍が担ってたものだった。そりゃ書籍の売上も落ち込むだろう。徒歩移動はWalkmanが席巻してたが、そこはiPod系再生機に喰われた。

さて、次の市場になりそうな生活様式のスキマはどこだろう? 寝てる間の嗅覚とかがねらい目?

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