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05/11/2004: "便利モデル"
おスィゴト関係で久しぶりにネットワーク容量の試算をしてたんですが、はて、ピーク時アクセス数見込みと一回あたりの送出ファイル容量、なんてので計算してよかったかな? そもそもまだないサービスなのに、ピーク時アクセス数見込み立てられるのかな? などと前提まで疑ってしまったところで、俺が美しいと思っている理論のひとつ、待ち行列理論を思い出した。
待ち行列理論とは、文字通り「なんかの処理を待ってる人などが行列を作ってる状態に関わる理論」なんだけど、これはトラフィックの解析に使われるんですね。直接的には、通信網を通過するデータの混み合い具合の解析。でも、よく引き合いに出されるのは病院の先生の数と待ち時間の関係性や、有料道路の料金所とクルマの関係。
これを最初に知ったのは、待ち行列が情報処理試験の科目だよ、とアタマの中に入ってたものの、まったく手をつけないまま入社した後、たまたま担当の人数と電話回線の問題を考えたときに、「それは待ち行列の世界でよーく吟味されてる」と先輩に教わった時だった。
ここで、その美しさを強調する上で、
- 通信路とデータ
- 医者と患者
- 料金所とクルマ
- 電話回線数と担当の人数
- ラーメン屋の生産速度と、カウンター数
- SUICAの読みとり速度とラッシュ
という、一見関係のなさそうな事象のリストを書いてみる。これらが一様に「待ち行列」というモデルによって同一に扱われる、ということ、美しさを感じませんかね。さらに、他の理論と異なって、人間界で生じることをモデル化しているという点がとてもフレンドリー(?)で現実的に便利でよい感じだ。
工学のいろんな箇所で、もちろんモデル化仮説→立証→応用→例外発見→モデル作り直し、という場面は見られるわけだけど、こういう、一般性と普遍性のある美しい理論にはなかなか出会えるものでない。ミニマルな美しさのひとつと言えるかも。
ちなみに学術用語で traffic をトラヒックと称すのは、その昔、トラフィックの"ィ"の字が活字になくて、でも電気通信事業法を記述しないといけないから、苦し紛れに「トラヒック」とした名残、という伝説めいた話を思い出した、そんな本日より31歳の昼であった。
参考リンク:
サルでもわかる待ち行列
トラヒック評価・設計支援システム TEDAS